【栞録】大好きな人、死んでくれてありがとう(まさきとしか)|歪んだ愛の形

栞録

作品情報

大好きな人、死んでくれてありがとう
著者:まさきとしか
出版社:新潮社
刊行年:2026年
ジャンル:ミステリー小説

物語温度:冷たい違和感が、肌の上をヒリヒリと這う

※本記事は、物語の核心に触れない範囲で内容に言及しています。まっさらな状態で物語と出会いたい方は、ご注意ください。

章序

人は少なからず誰かに認められたいと思う欲求を持っている。
それは決して珍しい感情ではない。

ただ、その形が歪んでいたとしたら、それは他人から見れば異様に映るかもしれない。

けれど本人にとっては、それだけでも生きる理由になりえる。

どれほど歪であろうと、それもまた一つの愛の形なのである。

物語に触れて

読み進めている間、常にヒリヒリとした冷たい感覚が付きまとっていた。

たくさんの人物が登場するが一癖あり、誰もがどこか常軌を逸している。
その行動、言動は理解の範疇を超えていることが多く、理解が追い付かず、思わず口角があがることが多々あった。

その一方でその異様さに思考と読む手が止まり、ページを戻って読み返すこともあり、状況を把握した時もには、鳥肌が立っていることもあった。

理解できるようで、理解できない。
その微妙な距離感が、不気味さを生み出してい、気味の悪さに引き寄せられるように、私はページをめくり続けていた。

そして終盤、最後の展開は怒涛すぎて、口角が上がるだけにはとどまらず、乾いた笑いがこぼれていた。

人にはそれぞれ承認欲求があり、それぞれの愛の形がある。私はただ、その光景を観客のように見つめていた。

胸の奥に留まった一文

「お連れさんは?」
力ずくで引き寄せ、くちびるにくちびるを押しつけた。

※印象に残った理由は記載しておりません。
 ぜひ実際に読んで、その温度を感じてみてください。

物語で感じた揺らぎ

登場人物それぞれに背景や信念があり、独自の思想を持っている。

しかし狂気の方向性がどこか似通っており、人物の輪郭がやや重なって見える場面もあった。

物語の中で出会った言葉

毒婦(どくふ):読み終えたあと、私はただその光景を思い返していた。

年嵩(としかさ):自分より年上であること、またはその年上の人物。

読後に残った感覚

物語が終わったあと、ぽつんと放り出されたような感覚が残った。
何かが燃え尽きたあとに残る、冷たい空白だけがそこにあった。

栞の結び

『大好きな人、死んでくれてありがとう』は、人と人との歪な繋がりを容赦なく描いた物語だった。

見る角度によって、愛にも狂気にも見える。

読み終えたあと、私はただその光景を思い返していた。

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